病院のエンジニア/カッコいい医療技術職の将来性とは?

臨床工学技士科のブログをご覧いただきありがとうございます。
専任教員の三村です。
先日、高校生の方からラインのご相談で
『臨床工学技士の将来はどうですか?AIに代わられないですか?』
とご質問を頂きました。
そこで今回のブログでは、
臨床工学技士の歴史や
医療業界の変化にともなう臨床工学技士の仕事の変化などをお伝えしようと思います。
これであなたも臨床工学技士マスター!
診療放射線技師や臨床検査技師に興味がある方にも
「医療技術職」としてご参考いただけると思いますので、どうぞ。
■目次
・臨床工学技士誕生の歴史
・臨床工学技士の資格について
・臨床工学技士の業界の変化
・高齢社会に伴う『在宅医療』への進出
・臨床工学技士の新しい挑戦(IoT)
・海外と日本の違い
・働き出してからも成長できる仕事
臨床工学技士の歴史
臨床工学技士は、医療職の中でも誕生してそれほど経っていない職業です。
臨床工学技士の国家資格として制定されたのが1987年。
今から35年前です。
(僕がよちよち歩きをしていた時です)
臨床検査技師は1958年、診療放射線技師は1968年に誕生しています。
臨床工学技士が誕生した背景には、
医学の発展にともなう【医療機器の高度化】がありました。
医療機器の技術革新が進んで
機械の操作がどんどん難しくなっていったのです。
病院にある機械の中には
患者さんの命に直結しているものが多くあります。
(例えば生命維持装置など)
ドクターや看護師は機械の勉強を専門にはしていないので、
日に日に複雑になっていく医療機器を扱うのが難しくなってきました。
そこで、患者さんに安全な医療が提供できるようにと、
「医学」「工学」の知識技術を持ち合わせた
医療機器のスペシャリスト=臨床工学技士
が誕生したのです。
誕生した理由から見ても
臨床工学技士は病院には欠かせない存在で、
他の医療職の方から頼りにされる仕事だということが分かりますね。
このように、医療の業界は
それぞれのスペシャリストが専門性を活かして患者さんを支える
「チーム医療」の時代になっているんです。
臨床工学技士の資格について
医療系の国家資格は20種類以上ありますが、
これらはそれぞれの法律のもと
「業務独占資格」と「名称独占資格」に分けられます。
「業務独占資格」とは、
その資格を持っている人だけが、その業務を行えるというものです。
例えば、医師の資格がないのに医療行為を行うと、重い罰則があります。
そして「名称独占資格」とは、
その資格を持っている人だけが、その名を名乗ることができるというものです。
業務独占資格との違いは、
例えばその資格を持っていなくても、その業務を行うことは認められているというところです。
臨床工学技士はこの「名称独占資格」に当たります。
理由としては、おそらく(これは僕個人の意見になりますが)
・臨床工学技士ができるまでは、医師や看護師が医療機器を扱っていたから
・臨床工学技士がまだ少なく、すべての病院に配置することが難しいから
ではないかと思っています。
「誰でもできるなら、別に臨床工学技士っていなくてもいいんじゃないの?」
そう思われた方は、1つ上の記事をもう一度読んでみてください。笑
臨床工学技士の業界の変化
近年のAIやロボットの発展にともない、
「将来、この仕事なくなるのでは!?」と心配される方もおられます。
たしかに、より精度の高い機械や自動化になったものも増えてきており、
これから更にAIが医療業界にも導入されてくると予想されます。
しかし、「機械が便利になった」だけで、患者さんの命が救えるでしょうか?
機械を一番よく知っていて、
安全に患者さんに使用したり他の医療スタッフに使い方を伝えるのは臨床工学技士です。
臨床工学技士の資格ができたときは、
人工透析、人工心肺、人工呼吸、機器管理の4つがメインの仕事でしたが、
医療機器の開発とともに、現在ではカテーテルや内視鏡、集中治療室業務、また人材育成など業務の幅がどんどん広がってきています。
また、機械の機能・精度があがったことによって
臨床工学技士は他の仕事ができるようになってきました。
それが、【医療機器開発】です。
臨床工学技士は、顧客が求めている「Needs(ニーズ)」と医療機器メーカーが提供できる「Seeds(シーズ)」の架け橋となれる存在なんです。
病院は、どんな機器を求めているのか?
医療機器メーカーは、どんな製品が作れるのか?
この両者の考えを把握し、
適したところに適したものを配置する役割も担っているので、
両者から重宝されるんです。
(臨床工学技士が現場経験を積んでから医療機器メーカーに転職して、開発や営業をすることもあります)
今後、病院以外の「ものづくり」の現場で
臨床工学技士の専門性を活かした医療機器開発が期待されます。
高齢社会に伴う『在宅医療』への進出
現在、厚生労働省では医療従事者の働き方改革が進んでおり、
医師から他職種へ業務移管する「タスクシフティング」が実行されつつあります。
この背景には医師の過重労働もありますが、
その他にも今迎えている「高齢社会」が関わっています。
65歳以上の高齢者の人口が全体の7%を超えると「高齢化社会」、
14%を超えると「高齢社会」、
21%を超えると「超高齢社会」と定義されていますが、
日本は1970年に高齢化社会になってから
わずか37年で超高齢社会となりました。
さらに、日本には「少子」がついていますよね。
高齢者が増えると医療や介護を必要とする人口が増え、
しかしその方々をサポートする側の人口が少ないという現象です。
最近は医療崩壊という(嫌な)ことばをよく耳にしますが、
そうならないように日本医師会では
・国民に安全安心な医療提供体制を整えること
・医療の発展と質の向上
を目的に様々なシステムを進めています。
タスクシフティングに加え、「地域包括ケア」もその一つです。
「地域包括ケア」とは、
自分が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、
住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステムのことです。
在宅治療をされる方が医療機器を自宅に入れる際に
内装・コンセント位置を提案したり、
ペースメーカーなど体に埋め込まれた医療機器の情報をチェックしたりする
病院と自宅をつなぐ『遠隔医療』にも臨床工学技士が関わっていきます。
臨床工学技士の新しい挑戦
先ほど、遠隔医療のお話をしましたが
インターネットや通信技術を使った医療も進んできています。
最近は、IoT(アイオーティー)という言葉をよく聞きますね。
「インターネット(internet)と物(things)をつなぐ」ことを意味します。
例えば、Iotが使われている一般的な商品として
・エアコンや電気などの家電をスマホで操作
・ペットの見守りカメラ(話しかけたりご飯をあげたりもできる)
・家の鍵をスマホでロック・解除ができる(しかも他の人とシェアできる)
など、めまぐるしい進化をとげています。
(僕の好きなドラえもんの世界が、もうそこに…!)
医療の現場でも、
遠隔診療や複数の医療機関でデータをデジタル共有するなどでIotが導入されてきました。
これが定着してくれば、
離島や過疎地、また病院まで来れない方や災害時の医療活動にも活用されることが期待されています。
しかし、まだセキュリティ対策や個人情報保護などの課題はあります。
臨床工学技士は病院のエンジニアとして、
医師やメーカーと共に新しい時代の医療に携わる重要な役割を担っています。
日本と海外との違い
通信環境が整ってきたら、日本国内だけではなく海外ともつながることができます。
では、海外の臨床工学技士はどんな仕事をしているのか?
実は、日本とアメリカでは臨床工学技士の在り方が少し異なります。
日本では、臨床工学技士の養成校(専門学校や大学)を卒業して国家試験に合格すれば臨床工学技士になれますが、
アメリカでは公認(指定校)の工学系の4年制大学を卒業すれば臨床工学技士(Clinical Engineer)になれます。
日本のように国家試験制度ではないんですね。
アメリカでは学会や協会が臨床工学技士のいろんな業務をそれぞれ「認定」し、
その認定資格を持って働いています。
認定資格には、
Certificate Clinical Engineer(CCE)、
Biomedical Engineer(BME)、
Registered Cardiovascular Invasive Specialist(RCIS)、
Biomedical Equipment Technician(BMET)などがあります。
(いきなり横文字ですみません。カッコいいかなと思って…笑)
呼吸療法、体外循環、保守管理など、認定書によって業務が専門化・細分化されているんですね。
アメリカ以外を見てみると、
臨床工学技士になる学校自体がない国もあります。
そういった国で臨床工学技士になろうとすると、
アメリカなどの学校に通ったり、認定団体からClinical Engineer認定を受けることで
臨床工学技士として働くことができます。
また、病院内に臨床工学技士がいるものの
透析装置の操作は看護師が行っている、生命維持装置は医師が行っているという国もあります。
日本では国家資格を持っていれば血液浄化、呼吸、循環などの業務すべてが行えますが、
実はこれは世界的にも珍しく、海外では「認定資格」の効力が強いんです。
技士の業務内容も国によっても違いがあるのですね。
働き出してからも成長できる仕事
先ほど、海外のシステムとして認定資格の話をしましたが、
日本では国家資格以外にも臨床工学技士がめざせる認定制度があります。
・透析技術認定士
・血液浄化専門臨床工学技士
・体外循環技術認定士
・3学会合同呼吸療法認定士
・臨床高気圧酸素治療技師
・臨床高気圧酸素治療装置操作技師
・臨床ME専門認定士
・日本アフェレシス学会認定技士
・ペースメーカ関連専門臨床工学技士
・医療情報技師
・医療機器情報コミュニケータ
・消化器内視鏡技師
・心臓リハビリテーション指導士 など
…多いですね。
でも臨床工学技士として現場で働く中で
「もっとこの技術を極めたい」
「新しい業務に挑戦したい」
と思ったときに、こういった検定があると勉強しやすいですよね。
どんな技士になりたいのか、
どんなキャリアを積みたいのか、
臨床工学技士は働き出してからも成長できる、
やりがいのある仕事だと思います。
いかがでしたでしょうか。
臨床工学技士が何をしているか、だけではなく
医療業界の変化や仕事の背景などを知ると、
とても奥が深いですよね。
(と思っていただけてたら嬉しいです!)
もしもっと詳しく聞いてみたいと思われたら、
オープンキャンパスで実際に機械を触りながらお話しますので
ぜひお越しください ^^)
少しでもみなさまのご参考になっていれば幸いです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
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