作業療法で大切にされる“生活リハビリ”って何? ― 冬の日常をわかりやすく解説 ―
みなさん、こんにちは!
作業療法士の阿曽です。
今回は作業療法で大切にされる「生活リハビリ」を、冬の生活を例にしながら一緒にかんがえていきましょう!
作業療法士(OT)のリハビリは、「運動機能を鍛える」だけではありません。
実は “生活そのものを取り戻す” ことを目的に行われる、とても生活に密着したリハビリです。
特に冬は気温の低下や活動量の減少により、日常生活動作(ADL)が変化しやすい季節。
“冬の日常”は、生活リハビリを説明するうえでとても分かりやすい題材です。
■ 1.「生活リハビリ」とは?
生活リハビリとは、実際の生活動作そのものを使って行うリハビリ のことです。
たとえば──
服を着る
歩く・移動する
食事をする

掃除をする
買い物をする
入浴やトイレ動作を行う
こうした“生活行動そのもの”が、患者さんの身体・認知機能の回復につながるという考え方です。
目次
■ 2.なぜ生活リハビリが大切なのか?
理由はシンプルで、患者さんが退院後に必要なのは “生活する力” だからです。
●ポイントは4つ
実際の生活と結びついているため、効果が出やすい
患者さんの“やりたいこと”に直結しているため、意欲が高まりやすい
成功体験を得やすく自信につながる
退院後の自立につながる

作業療法士は「機能訓練」だけでなく、患者さんの生活の再構築 を支援する専門職でもあります。かかわった患者さんの生活がより豊かになっていく様子を見ると、自分自身もとてもうれしくなりますよ。
■ 3.冬の日常には、生活リハビリのヒントが多い
冬は生活動作が変わる季節です。
寒さにより身体は動きにくくなり、服装も重ね着になるため、日常生活動作(ADL)への負担が増えます。
●例1:厚着の季節=更衣動作が良いリハビリに
コート、セーター、手袋、マフラー

冬は着る物が増えるため、指先の操作・肩の可動域・体幹バランス を自然に使う効果的なリハビリになります。
●例2:活動量の低下 → 室内生活動作が重要に
寒いと外出が減り、運動量が落ちやすい季節です。
そのため作業療法では、以下を生活動作に取り入れていきます。
室内での掃除
料理の下ごしらえ
室内歩行
立ち座りを含む家事動作

皆さんが毎日行っていることばかりではないでしょうか。当たり前のように行っている、生活行動そのものが筋力・持久力の維持につながります。そう考えるとすごいですよね‼
●例3:冬の家事もリハビリになる
コートをハンガーにかける
こたつの布団を整える
加湿器に水を入れる
冬野菜を切る

これらは
✔ 手の巧緻性
✔ 握力
✔ 体幹機能
✔ 上肢の運動
✔ 立位バランス
などを自然に使う良いリハビリです。
■ 4.認知・遂行機能のリハビリにもつながる
冬は“段取りが必要な動作”が増える季節でもあります。
買い物の計画を立てる
暖房の温度調整
加湿器の水を入れる
料理の段取りを考える
これらには
注意・判断・遂行機能・記憶
などが自然に働くため、認知機能リハビリにも効果的です。
■ 5.「その人らしい生活」を取り戻すのが作業療法
冬の生活には、その人らしい“季節の楽しみ”があります。
💭冬の料理を家族にふるまいたい
💭年末の掃除を少しでも自分の手でやりたい
💭気分転換に散歩に行きたい
💭冬服に自分で着替えたい
作業療法士は、こうした “その人の生活の目標” に寄り添いながら、機能回復だけでなく生活全体をサポートします。

■ まとめ:冬の日常そのものがリハビリになる
冬の生活動作は負荷が適度に増えるため、生活リハビリの効果が分かりやすく現れる季節です。
厚着 → 更衣動作の練習に最適
外出減少 → 室内活動の重要性UP
冬の家事 → 身体・認知機能の自然な訓練に
季節の行動 → QOL向上につながる
作業療法士が大切にしているのは、
「生活を再びその人らしく取り戻すこと」です。
とても素敵な仕事だな、興味がわいてきたなという方がいらっしゃると嬉しいです。
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