シリーズ②:お漬物と人工透析の意外な関係性

―食卓の一品が医療とつながるって知っていましたか?― 

人工透析って、なんだか特別な医療技術のように見えますよね。 

でも実は、おばあちゃんが作るお漬物と同じ原理で動いていると言ったらどうでしょう。 

「えっ、そんなわけないでしょ」 

と思われた方!ここからが面白いところです。 

 

一見まったく関係がないように思える「お漬物」と「人工透析」。でも実は、どちらも「浸透圧」と「拡散」という自然のルールを使っているんです。 

 

―まずはお漬物の世界から― 

きゅうりや大根を塩に漬けると、しんなりして水が出てきますよね。あれは偶然ではなく、ちゃんとした科学の力。これは、濃度の高い塩水に接した野菜の細胞から水分が浸透圧によって外へ移動し、逆に塩分は拡散によって内部へ浸み込む現象です。つまり、お漬物は水分と塩分が行ったり来たりすることでできている食品なんです。 

―では、人工透析はどうか― 

人工透析は、腎臓の代わりに血液をきれいにする治療です。その仕組みも実はお漬物と同じ。体内の不要な物質や余分な水分を「濃度差」を利用して取り除きます

腎臓が正常に働かない患者さんでは、血液中に老廃物や水分が溜まってしまいます。

そこで透析装置に血液を通し、半透膜を介して透析液と接触させます。透析液は老廃物の濃度が低く設定されているため、血液中の尿素やクレアチニンなどが拡散によって移動し、余分な水分は浸透圧によって除去されます。つまり、透析は体の中のいらないものを外へ出すための、コントロールされたお漬物現象といえるわけです。 

こうして比べてみると、お漬物も透析も、どちらも「濃度差を利用した成分の移動」がポイント。 

身近な食べ物の中に、医療の原理が隠れているって面白いですよね。 

 

「浸透圧」「拡散」と聞くと難しそうに感じるかもしれません。でも実は、身の回りで起きている自然現象です。 

臨床工学技士は、こうした自然の原理を応用して、人の命を支える医療機器を扱うシゴト。 

お漬物を見て「これ、透析と同じ原理だ!」と思えたら、あなたはもう医療の入り口に立っています! 

次にお漬物を見かけたら、ぜひ今日の話を思い出してみてくださいね 

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