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臨床工学技士科 BLOG

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2019.11.21 (木)臨床工学技士科

臨床工学技士の将来性「これから臨床工学技士はどうなっていくの?」

いつもブログをご覧いただき
ありがとうございます。

臨床工学技士科教員の三村です。

最近は社会人や大学生の方で、
臨床工学技士になりたいという方が
増えてまいりました。

そんなときに

『臨床工学技士の将来はどうなりますか?』
『臨床工学技士を目指して大丈夫なのですか?』

という質問を頂きます。

そこで今回のブログでは、
学び直しをご検討の大学生や社会人の方に
臨床工学技士の将来性を分かりやすく
お話いたします。

臨床工学技士を目指すかどうか悩んでいる
高校生も是非参考にしてください!

 


◆臨床工学技士誕生の歴史

まず臨床工学技士の歴史を
少し振り返ってみましょう。

臨床工学技士法が制定されたのは1987年…
今から32年前になるんですね。

たくさんある医療職の中では、
比較的新しい職種となります。

参考:
臨床検査技師法(1958年)
診療放射線技師法(1968年)

臨床工学技士が誕生した背景には
医学の発展に伴う医療機器の高度化がありました。

技術革新が進み、機械の操作や
修理がどんどん難しくなっていたのです。

複雑化する機械にドクターは
お手上げ状態となりました。

そこで、医学的・工学的な知識を持ち合わせた
医療機器の専門家=臨床工学技士が誕生したのです。

業界からよほど強いニーズがあったと
いうことが窺えますね。

そしてそのような社会的需要は
現在も衰えておりません。

◆臨床工学技士の今

臨床工学士は比較的新しい医療職ではあるものの、既にチーム医療の一角を担っています。

実際に人工心肺装置、人工呼吸器、
血液浄化装置といった生命維持管理装置を
安全に操作・管理するスペシャリストとして
病院の中で欠かせない存在となっているのです。

医療は常に進歩を続けており、医療機器やAIの発達により、高度医療がますます進みます。

そんな中、医療機器のスペシャリストである臨床工学技士の存在はこれからもますます重要となります。

そんな重要な仕事を担う医療職でありながら、臨床工学技士はまた有資格者が全国で約5万人と少ないのが現状です。

臨床工学技士に対する期待は大きく、本校に来る求人も約500名と大変多くなっています。

でも、それは『今』だけではないのか?
将来的には臨床工学技士は
不要になるのではないか?

そんな不安を抱えておられる方も
いらっしゃるかと思います。

そこで、これから臨床工学技士を取り巻く環境が
どう変化していくのかをお伝えしましょう。

 

◆医療機器開発へ

実は今、臨床工学技士の業界は
大きく変わろうとしています。

まずは医療機器開発への参画です。

日本政府が日本再興戦略として
アベノミクス3本の矢を立て経済再生を目指し、
これらの政策が近年の医療機器開発ブームの引き金となっています。

“臨床”と“工学”の両方の知識を併せ持つ
臨床工学技士は、医療機器開発において
Needsの収集とSeedsの架け橋となれる存在

現場がどんな機器を求めているのか、
そして医療機器メーカーがどんな
製品を売り込みたいのか、
この両者の思いをきちんと汲み取り、
両者から重宝されるというわけなのです✨

今後、様々なものづくりの現場で
臨床工学技士が専門性を活かした
医療機器開発に携わり、
貢献していくことが求められるでしょう。

 

◆新しく開発される医療機器の管理

 

 

新しく医療機器が開発されることにより、それを扱うプロである臨床工学技士の価値も高まってきています。

これから新しく開発される医療機器には、AIを活用するなど、仕組みが複雑で高度なものが多く、時代の流れの中で操作や保守点検はより専門的な技術が必要となります。

医師や看護師では管理が難しかった高度な医療機器を、臨床工学技士なら管理ができるため、今まで以上に医療現場での予期しないトラブルにも対応できるようになるでしょう。

◆需要が拡大する透析治療への対応

臨床工学技士の業務の中に血液浄化療法(人工透析)という業務があります。

透析の業務は臨床工学技士として必要不可欠な業務であり、非常に患者さんとの関わりが深いものです。

透析治療とは、病気などの影響で正常に機能しなくなった腎臓の代わりに、血液中の老廃物や余分な水分を取り除き、腎臓の働きを人工的に補う治療法です。
日本は人工透析患者が多く、米国腎臓データシステム(United State Renal Data System)によると、世界で透析患者の有病率が最も高いのは台湾で、第2位が日本となっており、世界有数の透析大国なのです。

透析治療が必要な患者さんの数は年々増え続けており、

今後進む高齢化を考えると透析治療における臨床工学技士の需要が拡大すると考えられます。

◆新たな業務の展開/在宅医療への進出

また、現在厚生労働省では医師の働き方改革や
タスクシフティングが検討されており、
臨床工学技士にもその影響が及んでいます。

今後、臨床工学技士が医師の業務の一端を担う事で
今までにない新たな業務展開
想定されているのです。

例えば…。
臨床工学技士のお仕事のベースとなる、
臨床工学技士の業務指針も
約10年ぶりに改訂される見込みです。

近年、臨床工学技士の活躍が
目覚ましい内視鏡業務、在宅医療業務が
業務指針改定のポイントとなりそうですね。

このように患者さんのみならず、
医師からも必要とされているのです

さらに、10年前では想像も出来なかった事ですが…。

2025年問題に向けて
“地域包括ケア”が叫ばれていますね。

近年では医療機器にもIoTが応用され、
その保守管理や操作をするために
臨床工学技士の在宅医療への進出
期待
されています。

住み慣れた地域や街で、在宅医療に携わるという
新しい働き方ができるという事です。

まさに働き方改革ですね!

 

◆医療事故防止に向けて

医療分野における大きな問題の1つとして医療事故があります。

近年は医療事故が社会問題として取り上げられており、ドラマ等でそういったシーンが採用されているのを見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。

かつては、医師や看護師が医療機器を扱うことがありましたが、「人工透析装置」や「人工心肺装置」などの生命維持装置や高度化する最新医療機器の操作や保守管理は臨床工学技士の専門です。

医療事故を未然に防ぐためには、医療機器を正しく扱うことができ、かつ管理に長けた臨床工学技士が必要とされているのです。

◆災害発生時にも活躍

臨床工学技士は、災害が発生した地域に医療を提供する医療チーム「DMAT(災害派遣医療チーム)」の一員として働くこともあることもあります。

DMATは「災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム」と定義されており、災害派遣医療チーム[Disaster Medical Assistance Team] の頭文字をとって略して「DMAT(ディーマット)」と呼ばれています。

災害医療現場の中でもとても貴重な存在と言えるでしょう。

急性期医療や医療機器操作に精通している臨床工学技士が居ることで、災害現場で医師や看護師と共に災害医療支援できる体制の構築が可能になると考えられており、災害医療現場の中でもとても貴重な存在と言えるでしょう。

また、病院内の災害対策はもちろん、国や県が行う災害訓練にも中心的な役割として参加していきます。

DMATの業務は認定を受けなければ携われないため、全ての臨床工学技士がなれるわけではありません。

しかし、日本は地震大国ということもあり、これからも災害の脅威は十分に考えられることから、DMATの一員として活躍できる臨床工学技士は重宝されるでしょう。

◆海外での人材育成

もう少し視野を広げてみましょう。

医療の発展と言えば、日本だけに限らず
発展途上国や新興国の経済成長は著しく、
医療水準も向上しています。

こういった国々でも
医療機器の需要が高まっている一方、
適切に医療機器を操作し
保守管理を行う専門家の人材が
不足しているのが現状です。

今後は日本の臨床工学技士が
国際交流の一環として、
発展途上国や新興国における人材育成という
重要な役割を果たしていくと考えられます。

国内だけではなく、
世界から臨床工学技士は求められる、
そんな未来がもうすぐそこまで来ているのです。

◆高齢化と医療職

今、日本では高齢化がどんどん進んでいます。

特に2025年は団塊の世代が後期高齢者になることから、さまざまな分野への影響が懸念されており、医療分野も例外ではないでしょう。

団塊の世代の人口は、現在約800万人。

厚生労働省の試算では、この方々が75歳以上になると、現在約1,500万人の後期高齢者人口が、約2,200万人に膨れ上がるとのことです。

我が国は、国民の4人に1人が75歳以上という、世界史上類を見ない超高齢社会に突入することになります。

高齢者の人口が増えると病気やケガが増え、病院を利用する人数が増えていきます。

まずは病気にならないようにする予防の観点、そして病院だけではなく自宅で治療が受けられる受けられるようなシステムと人材が必要となります。

以上のことから高齢化が進む今、AIやデジタルツールを活用できる臨床工学技士が必要だと分かります。

◆臨床工学技士はやりがいのある仕事

臨床工学技士は医療機器で患者さんの命や人生を守ることのできる仕事です。
失敗の許されないシビアな現場も多いですが、重大な責任を持って仕事に臨んだ後の達成感は大きなやりがいとなります。

医師と相談しながら治療法を考えたり、安全な医療を提供するために他職種との勉強会を開いたり…。

様々な方から頼りにされることも多く、患者さんだけでなく、他スタッフからも感謝される仕事です。

◆まとめ


さいごに…
臨床工学技士が多くの可能性が秘めている事が
分かって頂けたかと思います。

医療機器メーカー、在宅医療
海外での人材育成といった様々な働き方の中から、
皆さんに合った ”臨床工学技士” を目指して頂けたら、、、と思います!

 

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